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米国:航空貨物事前申告に向けたパイロット・プログラム計画
2012/04/06

1.さる3月30日、米国国土安全保障省税関・国境警備局(CBP)は、航空貨物の積み込み前スクリーニング・パイロット戦略計画(ACAS:Air Cargo Advance Screening)を同省のウェブサイトで公表した。
ACAS Pilot Strategic Planの原文コピーを添付する。

Air Cargo Advance Screening Strategic Plan ⇒  (421KB)

またCBPのウェブサイトは以下の通り。

http://www.cbp.gov/linkhandler/cgov/trade/cargo_security/cargo_control/acas_psplan.ctt/acas_psplan.pdf

2.パイロット戦略計画(Pilot Strategic Plan)では、テロ対策としての航空貨物の積込み前スクリーニングに関するパイロット・プログラムの詳細な内容とその実施スケジュールを明らかにしている。

3.要旨
(1)
ACASとは:
2010年にイエメンで、米国向け航空貨物の中から2発の爆弾が発見された。これは空中(シカゴ上空)で航空機を爆発させるようセットされていたアルカイーダ(AQAP:Al Qaeda in the Arabian Peninsula)のテロ計画であった。同テロ計画を契機として、米国政府税関国境警備局(CBP)と輸送安全局(TSA:Transportation Security Administration)が共同で航空貨物セキュリティ・プログラムを開発してきた。

(2)
ACASの基本的内容
貨物情報の積込み前申告
リスク・ベース・ターゲティングの強化
通関申告要件の効率化(Streamlining)
航空貨物に関する国際標準の調和

すなわち、CBPとTSAが、発地において航空機積載前に申告された貨物情報を受け取って、ハイリスクと見られる米国向け航空貨物をターゲティングし、また必要と判断される場合物理的検査を実施する。

(3)
ACASのパイロット・プログラムは、既に2010年から行われており、当初はエクスプレス便だけに焦点を当てていたが、今回CBPとTSAは段階的実施計画をまとめ、旅客便、フレイト・フォワーダー及び貨物専用便に拡張することとした。このパイロット・プログラムは28カ月間行われる予定。

実施計画は以下の通り:
フェーズI:
対象を旅客便およびフレイトフォワーダーに拡大し、TSAの標準セキュリティプログラム(SSP:Standard Security Program)を改訂する。
フェーズII:
対象となる旅客便及びフレイトフォワーダーをさらに追加拡大する。
フェーズIII:
自動ターゲティングシステムに「信頼できるシッパー制度の仕組み(Trusted Shipper Concept)」を取り込む。
フェーズIV:
残りの貨物量の多い旅客便およびフレイトフォワーダーに拡大する。
フェーズV:
対象を、貨物量が中小規模の旅客便とフレイトフォーワーダーに拡大する。
フェーズVI:
貨物専用便(Heavy All-Cargo Carriers)へ拡大する -グローバル展開となる。

4.今後の規則化
ACASは、目下のところパイロット・プログラムであり、積込み前情報申告を義務化とするには法令で規則化される必要がある。しかしながら、規則化に向けた具体的なスケジュール案はまだ示されていない。

以上


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