米国における貿易・投資上の問題点と要望
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本表の見方 |
22. 環境問題・廃棄物処理問題 |
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経由団体※ |
問題点 |
問題点の内容、国際経済法上・二国間協定上の解釈 |
要望 |
準拠法、規則、運用 |
JEITA 日機輸 |
(1) カリフォルニア州グリーンケミストリー規制の内容の未確定 | ・カリフォルニア州グリーンケミストリー規制には、規制対象となる消費者製品および化学物質の詳細が特定されていないため、貿易上の障害とその程度について十分な評価が困難。 | ・対象製品・物質の詳細決定後、あらためてTBT通報していただきたい。 ・規制検討においては、科学的根拠に基づく対象物質の決定、評価に必要な時間の確保、企業秘密の取り扱いへの配慮をお願いしたい。 |
・CA州グリーンケミストリー規制(Safer Consumer Product Alternatives) |
日機輸 |
(2) カリフォルニア州DINP警告表示規制の不透明 | ・米国CA州「プロポジション65」の評価基準値の公表が遅れている。および2015年より審議中の改正案での警告表示の対象言語が不明確。 2013年12月20日にDINP(フタル酸ジイソノニル)という塩ビ樹脂の汎用可塑剤が発がん性としてリストに収載され、2014年12月より、人への危害が懸念されるレベルを超えた含有がある製品には警告表示が課せられた。米国業界ACC (米国化学工業協会)が提案したMADSLという閾値にいたる程の暴露の可能性はないとみており、またACCが当局のリスト収載を不当として提訴している状況で、施行期限直前に当局が業界提案の20分の1ほどの小さい閾値を提案したために暴露可能性の判断が難しくなった。 |
・リスト収載時点でNSRL(有意リスクを呈さない特定の規制レベル)を必ず公表してもらいたい。 ・消費者等の暴露可能性を評価する手順を例示してもらいたい。 ・さもなくば、警告表示が必要となる含有量を既定するべきである。 |
・プロポジション65 https://oehha.ca.gov/ proposition-65 |
(参考) ・プロポジション65(カリフォルニア州 1986年安全飲料水及び有害物質執行法) https://oehha.ca.gov/proposition-65/law/proposition-65-law-and-regulations https://www.p65warnings.ca.gov/ ・2013年12月にDINPがリストに追加 http://oehha.ca.gov/prop65/CRNR_notices/list_changes/122013P65list.html ・§25602(d) https://oehha.ca.gov/proposition-65/crnr/notice-adoption-article-6-clear-and-reasonable-warnings https://oehha.ca.gov/media/downloads/crnr/side-sidearticle6090116.pdf |
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(対応) ・2016年8月30日、「プロポジション65」施行規則§25601(明確な妥当な警告Clear and Reasonable Warnings)等の警告表示に関する条項の改正が告示され、2018年8月30日から施行へ。 |
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日機輸 |
(3) 連邦法と州法との規制内容の不一致 | ・例えばカリフォルニア州法と米国連邦法で同様の規制に対して要求事項や対象の定義が異なる場合がある。 | ・共通規制にして頂きたい。 | ・CA州TITLE 20 APPLIANCE EFFICIENCY REGULATIONS / DOE Energy Conservation Standards for Battery Chargers |
日機輸 |
(4) 連邦法と州法による複合木材のホルムアルデヒドの認証強化、費用負担増 | ・カリフォルニア州には、2008年に発効になったToxic Air Contaminant Identification and Control Act of 1983(有害大気汚染物質の同定及び管理法)があり、CARB(カリフォルニア大気局)による認証(又は第三者認証機関による認証)が必要とされてきた。これは、認証継続のために年間数百万円の費用(試験料等)が必要という非常に厳しい規制である。一方、2017年にアメリカ連邦法としてFormaldehyde Standards for Composite Wood Products Act of 2010(複合木材のホルムアルデヒド基準法)が発効になり、EPA(米国環境保護庁)による認証(又は第三者認証機関による認証)が必要とされることとなった。現在は移行期間中だが2019年3月より強制化される。つまり、米国に販売する場合、実質的にはカリフォルニア州法と連邦法の双方の認証を取得しなければいけないという状況になっており、合板(MDF、Particle Board含む)の製造メーカーには非常に重いコスト負担となっている。なお、カリフォルニア州法と連邦法は実質的にまったく同じ基準となっており、移行期間である現在はCARBによる認証を取得していれば、自動的にEPA認証も取得していると見做される。しかし、2019年3月以降はEPAによる認証が必須とされているので、実際に合板メーカーはEPA認証の取得を開始している。それらの合板メーカーによれば、CARB認証に追加で半額近くの金額が必要とのこと。つまり、実質的に、ホルムアルデヒド認証の費用が1.5倍になったと言える。 直接的には合板メーカーの問題だが、この規則のため、合板を購入する際の障壁になっており、費用増(さらに手間暇も必要)のため認証を取りたがらない合板メーカーも現れており、弊社の材料調達上の問題点となっている状況。 ・2016年7月に発効されたカリフォルニア州で既に施行されているCARB規則と、TSCAのホルムアルデヒド放散基準は同じだが、一部要求項目が異なる(TSCA認定認証機関による認証、輸入証明規則の遵守)。 事業者は、北米出荷製品は通常、カリフォルニア州を区別した出荷は困難であるため、全米でCARBの対応を実施しているが、すべてTSCA対応に切り替える必要があり、大きな負担となっている。 またカリフォルニア州では、CARBとTSCAの2つの法令に対応する必要がある。 |
・EPAによる認証が開始した以上、カリフォルニア州は「EPAによる認証を以て、CARB認証を取得していると見做される」という状況(現在の移行期間と逆の構図)にして頂き、速やかにこの二重認証が必要な状況を解消して頂きたい。 EPAによる認証だけで良ければ、従来のCARBと同じであり、「現状維持」となるので合板メーカーの理解も得られると考える。 ・今後、既に州法で規制されている物質をTSCAで規制する際には、州法との完全整合や、州内での州法とTSCAの対応方針(州法の終息等)を明言すべきである。 |
・カリフォルニア州法:Toxic Air Contaminant Identification and Control Act of 1983(有害大気汚染物質の同定及び管理法) ・Airborne Toxic Control Measure to Reduce Formaldehyde Emissions from Composite Wood Products(複合木製品からのホルムアルデヒド放散を削減するための空気中の有害物質制御規則)California Code of Regulations sections 93120-93120.12,title 17 ・連邦法:Formaldehyde Standards for Composite Wood Products Act of 2010(複合木材のホルムアルデヒド基準法)(USC Title 15,Chapter 53-Toxic Substances Control, Subchapter VI) ・Formaldehyde Standards for Composite Wood Products(複合木材のホルムアルデヒド基準)(40 CFR part 770) |
日機輸 |
(5) 環境規制の不透明 | ・環境規制の施策の詳細情報(実施時期・実施内容など)が不透明である。 | ・関連情報の提供。 | |
日機輸 |
(6) 難燃剤の含有禁止規則 | ・子ども用製品や布・革張り製品中への全ての難燃剤の含有を禁止する規則。 対象難燃剤を特定せず、人体に有害と証明されていない物質も含めて全て禁止することは、産業界の負担を増大させ、競争力の低下を招くだけである。 |
・規制すべき難燃剤物質(CAS番号)とその根拠(有害性と人体への暴露量に基づくリスク評価結果)を明確にしていただきたい。 ・また暴露リスクのない製品(消費者の手の届かない内部部品等)を免除対象にしていただきたい。 |
・コロンビア特別区 Law Number L21-0108 ・メイン州H.P.138 L.D.182 ・カリフォルニア州サンフランシスコ市条例Chapter28 |
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