ベトナムにおける貿易・投資上の問題点と要望
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本表の見方 |
26. その他 |
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経由団体※ |
問題点 |
問題点の内容、国際経済法上・二国間協定上の解釈 |
要望 |
準拠法、規則、運用 |
建産協 日機輸 |
(1) 交通インフラの未整備 | ・工業団地から港湾・空港へ通じる道路はやや整備が進んできた。一方、都市部の交通渋滞が激しくなっており、車両の代替交通手段として都市鉄道の整備が待たれる。 ・特に南北間の流通においては鉄道、道路のインフラレベルが低いため輸送に関してコスト、納期、品質に及ぼす影響が大きい。 またサプライヤーは保税企業となるが、都度発生する通関経費が高く仕入品における影響が大きい。 |
・港湾へ通じる道路の更なる整備。 ・都市部交通渋滞緩和のための都市鉄道整備。 ・インフラへの積極的投資。 |
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(対応) ・2009年9月24日、ベトナム、タイ、カンボジア、ラオスの4カ国政府は、越境車の強制保険適用協力に関する覚書(MOU)を結んだ。これにより、越境時に自動車賠償保険が適用されることになる。 ・2010年3月18日、ホーチミン市人民委員会は(同市の理事13名から構成)は、道路輸送のための陸上交通投資の促進を目的とした企業への優遇措置について定めた決定第15号(Decision No. 15/2010/QD-UBND)を公布した(2010年3月28日より施行)。決定第15号の定める要件を満たしている投資家は、ベトナムの投資関連法に基づく各種の優遇措置、投資プロジェクトの期間中の融資を保証する投資証明書、土地利用の変更時の追加料金の免除及び土地収用補償を受けることができる。 ・2010年6月19日、ベトナム国会は、新幹線方式を採用した「南北高速鉄道」の政府案を反対多数で否決した。 ・2012年8月、ホーチミン都市鉄道(メトロ)1号線の工事が開始された。完成予定は2018年。 ・2014年7月、ロンアン省ベンルック〜ドンナイ省ロンタイン間の高速道路の建設に着工。 |
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(改善) ・2012年6月、ハノイ市内のカウゼー(国道1A号線)とニンビン省中心部のニンビン(国道10号線)を結ぶ全長56キロの高速道路が開通し、大幅な輸送時間の短縮が図られることになった。 ・2014年1月、ホーチミン〜ロンタイン間の高速道路が開通。 |
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建産協 |
(2) 港湾インフラの未整備 | ・南部において港湾の慢性的な混雑、また港湾近郊の道路事情による慢性的な渋滞により、度々の遅滞が発生する。 現在は渋滞対策に向けた道路工事が実施されている状況。 |
・インフラへの積極的投資。 | |
日機輸 |
(3) 電力インフラの未整備 | ・メンテナンスや工事などに関わる計画停電の要請が遅く生産に影響をきたすことがある。ベトナム北部における計画停電の回数は減っているが、瞬停は散見される。 | ・安定供給にむけた送電網の整備と計画的な工事・余裕をもった事前周知をお願いしたい。 | |
(対応) ・2011年6月29日、グエン・タン・ズン首相は風力発電プロジェクトの開発推進に関する決定第37号を公布した(2011年8月20日発効)。風力発電プロジェクトへの投資家は、輸入関税、法人所得税(CIT)、地代、土地使用料、融資の面で優遇措置を受けることができる。事業者は固定資産を建設するために輸入した物品、材料、半製品で国産不可能なものに対する輸入関税の免除を受けることができる。事業者はまた、投資法及び法人所得税法並びにそれぞれの実施細則の定めに従って、特別奨励部門におけるプロジェクトのCIT、地代、土地使用料について同様の優遇措置を受けることができる。 ・2011年に発効した第7次電力マスタープランでは、目標電力料金として、2020 年までに1kWh当たり8〜9セントとすることを掲げ、発電事業が長期にわたって安定的に行えるように電力料金を調整していくとしている。 ・2012年12月22日、商工省は電力料金を5%引き上げた。 ・2013年8月1日、商工省は電力料金を引き上げた。引き上げ幅は5%で、改定後の電力料金は1キロワット時(kWh)当たり平均1,508.85ドン(約6.9円)。 |
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建産協 日機輸 |
(4) サポーティングインダストリーの不足 | ・コスト競争力向上の為、部品・型・治具及び加工処理の現地調達を求めているが、裾野産業の育成・発展が進んでいない。 多くの省庁・団体が裾野産業の育成・発展に取り組んでいるが、イニシアティブが取られていない。 ・原材料の多くを輸入に依存しているため、当然材料価格は競争力が低く、また輸入元の環境影響等を受けてしまう。 ただしここ近年では政府政策として現地産業底上げによる現地調達率を上げていく方針があるため、それにより今後現在輸入している材料の関税やダンピングによる影響も懸念される。 |
・起業のための投資、海外からの専門家招致を政府がサポートする必要がある。 ・国をあげての現地調達率の向上(自動車生産)。 |
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(対応) ・工業団地内に日系中小企業向けのレンタル工場やアパート型工場の建設が多数進められている。 ・2014年3月、ベトナムのチュオン・タン・サン国家主席の訪日時に発表された日越共同において、日本側がベトナムの裾野産業発展に引き続き協力することが確認された。 ・2014年7月、JETROホーチミン事務所とホーチミン市輸出加工区・工業団地管理委員会(HEPZA)は、ベトナム南部の裾野産業を育成するため、「日越裾野産業フォーラム」を設立した。 ・2015年11月3日、政府は、裾野産業発展に関する政令111/2015/ND-CPを公布、2016年1月1日から施行。裾野産業として支援・優遇の対象となる「優先育成産業製品リスト」として「テキスタイル・衣料」「革・靴」「電子」「自動車製造・組立産業」「機械製造分野」「ハイテク産業を支える工業製品」の6分野に分けて具体的製品を挙げている。研究開発、応用・技術移転、人材育成、市場開拓、中小企業の支援策が盛り込まれている。 |
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(改善) ・2011年7月4日、財務省は自動車組み立て・生産、機械工学、電子機器、情報技術、繊維・衣類、皮革・履物、ハイテク産業を支える裾野産業の振興推進を目的とした2011年2月22日付け首相決定第12号(Decision No. 12/2011/QD-TTg)を実施するための2011年通達第96号(Circular No. 96/2011/TT-BTC)を公布した(2011年8月18日より施行)。同通達は、(1)特定の設備・機械、(2)国内で製造できないソフトウェア製品の製造用材料、(3)科学技術研究開発用産品(機械、設備、部品、一部車両、科学誌、教科書など)の輸入関税を免除している。またハイテク製品を支援するプロジェクトは、法人所得税(CIT)法に定める特恵CIT税率及び税額減免措置を受けられる。同通達はまた、中小企業に対する財政支援、付加価値税(VAT)還付、土地税免除などその他の優遇措置についても規定している。 |
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日機輸 |
(5) 労働力確保の為の工業団地周辺の生活環境改善 | ・都市部郊外の工業団地周辺で労働者を集めるためには、工業団地周辺の生活環境の魅力が不足している。道路、公共交通機関、教育施設、病院、ショッピングセンター、娯楽施設など。 | ・魅力ある生活拠点として計画的に整備してもらいたい。 | |
建産協 日機輸 |
(6) 賄賂の要求 | ・現行法では民間企業での贈収賄は規制されていないが、政府はある程度の規制を実施する法案を準備中。2018年中の施行が期待される。 ・貿易においては通関の際にわいろを要求されたり、投資については手続きが煩雑で認可を得るまでに時間がかかることが多い等の課題があると聞いている。 |
・新らしくできる法律の遵守。 | ・The anti-corruption Law ・The Draft Law amending and supplementing a number article of the Law on anti-corruption 2017 ・Criminal Code No.100/2015/QH13 (Art. 353-366) ・Law No. 12/2017/QH14 on amendments to Criminal Code No.100/2015/QH13 |
日化協 |
(7) 不正企業対策による日系企業へのコンプライアンス負担増しわ寄せ | ・EPE企業、日系企業、原料、部品メーカーなどの裾野産業への外資企業の誘致が活発に行われている裏側で、日本以外の外資企業のコンプライアンス違反(廃棄物処理、密輸、脱税など)の事象から、日系企業にも法令で理不尽な費用負担が強いられるケースがある。 例)EPE企業の工場の自動モニタリングシステムの導入 →企業負担(密輸監視) |
・公正な外資企業評価。 | |
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