韓国における貿易・投資上の問題点と要望
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本表の見方 |
9. 輸出入規制・関税・通関規制 |
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経由団体※ |
問題点 |
問題点の内容、国際経済法上・二国間協定上の解釈 |
要望 |
準拠法、規則、運用 |
JEITA 時計協 日商 |
(1) 高輸入関税 | ・時計類(ウオッチ/クロック完成品、クロックムーブメント)の関税は8%と高い。 ・アメリカのTPPからの脱退により、韓国のTPPへの参加を希望していた韓国企業にとって、関税削減の実現が遠のいた。 ITAによりIT関連の関税撤廃が進んだが、韓国の撤廃スケジュールは助手的である。 また、ITAの対象となっていない電子部品も多く、関税撤廃の推進が望まれる。 −関税率8% -- Other Ceramic Products (6909190000) -- Air or Vacuum Pump Parts (8414901000) -- Co-axial cables and conductors (8544200000) -- Controlling Instruments and Apparatus (9032899090) −関税率5% -- Piezo-electric quartz (7104100000) |
・関税の低減及び撤廃。 ・RCEPがTPPの代替として浮上している。RCEPの交渉を急いで進めてもらいたい。 |
・韓国関税法 |
(対応) ・2011年7月1日、韓国と欧州連合(EU)との間のFTAが暫定的に発効した。EUがアジアの国と初めて締結した貿易協定である同FTAは、発効から5年以内に金額ベースで98.7%の関税を撤廃する。 韓国-EU FTAの条文については、以下のURLを参照。(http://ec.europa.eu/trade/policy/countries-and-regions/countries/south-korea/) ・2012年3月15日、米韓FTA発効。 ・2015年12月20日、韓中FTA発効。韓国の関税撤廃は20年間で品目数92%、貿易額91%。 |
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日機輸 |
(2) 日韓FTA/EPA締結の遅れによる不利 | ・韓・EU FTA、韓米FTAなどが続々と批准された一方、日韓FTAは協議に入ることを同意しただけであり、欧米に比べ少なくとも数年の遅れが見られる。 韓国は一般的に工業製品の関税率が高く(例:ガスタービン:8%、蒸気タービン:5%)、弊社の主要競合先であるEU、米国の発電設備メーカーとの間で、競合上著しく不利になっている。 ・日韓FTAが締結されていない為、日本からの輸出品については、原則8%の関税が係る。EU諸国との競争になると、競合は「輸送費コストが係る」にも関わらず、トータル価格で失注。 |
・日韓FTA或いはEPAの早期締結、またTTPへの韓国の参加につき働き掛けて頂きたい。 ・日韓FTAの早期締結を望む。 |
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(対応) ・2011年7月、韓国とEUとのFTAが仮発効。発効後2013年までに韓・EU貿易額が年平均4.4%増加。 ・2012年3月、韓米FTAが発効。FTA発効初年度の2012年、韓国の対米貿易黒字は152億ドル、2013年は205億ドルへと増大し、韓米FTA締結直前の2011年に比べれば、2倍近く膨らんだ。自動車については、米国の対韓国輸出が2011年11.7億ドルから2013年15億ドルへ26.7%増加したのに対し、一方韓国の対米輸出は2011年149億ドルから2013年196億ドルへ31.6%の大幅に増加。 ・2012年11月20日、日中韓FTAの交渉開始が宣言された。 ・2014年3月11日、韓国とカナダとのFTA交渉が妥結。韓国は、対カナダ輸入の81.9%(関税分類品目ベース)にかかる関税をFTA発効直後に撤廃、98.2%の関税を10年以内に撤廃する。 ・2014年7月7日、韓国-トルコFTAサービス投資協定交渉、大筋合意。2015年中に発効の見込み。 ・2014年11月10日、中韓FTAが大筋合意し、2015年6月1日正式署名され、2015年12月20日に発効した。 ・2018年3月27日、米韓FTAの見直しについて大筋合意した。 ・2019年1月1日、改定米韓FTAが発効した。 |
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(改善) ・2017年11月10日、TPP11大筋合意、同年12月8日、日EU EPA交渉が妥結。 ・2018年12月30日、TPP11が発効した。 ・2019年2月1日、日EU EPAが発効した。 |
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JBMIA |
(3) WTO情報技術協定(ITA)不履行 | ・ITA付属書B該当製品として無税通関しているデータプロジェクターに対して、高関税を賦課している。 | ・ITA付属書Bの記述内容に沿った無税通関を実施して頂きたい。 | ・ITA付属書B ・WTO DS376 ・GATT第2条 |
日鉄連 |
(4) アンチダンピング課税の濫用・長期継続 | ・2003年7月5日、日本製ステンレス棒・形鋼に対してAD調査開始(インド、スペインも対象)。 2004年7月30日、最終決定でクロ、AD課税決定。 2009年3月27日、日本・インド・スペイン製のステンレス棒鋼に対するサンセットレビュー開始。 2010年2月24日、AD措置継続(3年間)。 2010年4月28日、日本製ステンレス厚板に対してAD調査(予備調査)を開始。 対象品目は厚さ8mm以上80mm以下、幅1,000mm以上3,270mm以下のもので、主要用途は石油化学・LNG船・建設・原子力発電所・淡水化設備等。 2010年9月15日、予備調査の結果、クロ裁定。3〜5ヵ月に亘る本調査を開始。 2011年2月23日、最終決定でクロ、AD課税決定。 2012年9月20日、日本・インド・スペイン製のステンレス棒鋼に対する2度目のサンセットレビュー開始。 2013年7月25日、AD措置継続(3年間)。 2015年12月11日、日本製ステンレス厚板に対するサンセットレビュー開始。 2016年6月3日、日本・インド・スペイン製のステンレス棒鋼に対する3度目のサンセットレビュー開始。 2016年12月6日、ステンレス厚板AD措置継続(3年間) 2017年6月2日、ステンレス棒鋼AD措置継続(3年間) |
・措置撤廃、調査中止。 | |
(対応) ・2016年11月10日、韓国企画財務部は、日本製ステンレス鋼板に対するAD税賦課期間を3年間延長。 ・2018年6月19日、韓国政府は、日本が日本製ステンレス棒鋼に対するAD措置について、WTO協定に基づく協議を韓国政府に要請したことを受け、この問題に積極的に対応することを表明した。 |
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日機輸 |
(5) 税関による関税分類の恣意的適用 | ・韓国内へ輸入する際、日本から出荷するインボイス上の統計品目番号とは別の解釈をされ、課税される。本来、半導体露光装置用のレンズおよびFPD露光装置用のレンズ/ミラーは、【半導体露光装置部品】という解釈で輸入関税がゼロであるはずだが、実際には韓国関税庁の判断でインボイス上のHSコードと異なる解釈をされており、韓国輸入通関時に「ガラス製品」として夫々下記の関税を徴収されている。 −半導体露光装置用のレンズ・・・3% −FPD露光装置用のレンズ/ミラー・・・6.5%(2017年1月時点で8%から改善) また、光学部品以外についてもインボイス上のHSコードが適用されず、「ガラス製品」として輸入通関が行われている。 |
・ガラス製品ではなく、半導体製造装置部品のHSコードを適用してほしい。(関税ゼロ) | |
日機輸 |
(6) 返品輸出手続の煩雑 | ・市場問題が発生したインクジェットプリンタのインクタンクを日本に戻す際、インクの成分を全て開示しないと、インクタンクを韓国から輸出が認められない。 ⇒2017年は事例が無く改善確認ができなかった。 |
・製品レベルにおける液体輸出手続きの簡略化を要望。 | |
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