◆サプライチェーン・セキュリティ対策
  米国関税局の新たなセキュリティスキーム(C-TPATとCSIについて)
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C-TPAT、CSIプログラムのフェーズ2
2002/07/23

(本稿は、米国の法律事務所White & Case LLPの情報および米国関税局の7月9日付けプレスリリースから作成した)[1]


 7月9日付けのプレスリリースで、米国関税局はC-TPATプログラムのフェーズ2開始に取りかかっていると発表した。フェーズ2では、C-TPAT参加対象を輸入者から運輸企業へ拡張することになっており、7月中旬から申請受付を開始するとしている。 次いで7月15日、ロバート・ボナー米国関税局長官は、ヘリテージ財団で講演し、フェーズ2の内容についてより具体的に語った。すなわち、C-TPATプログラムへの参加企業が274社に達し、これまで輸入者だけを対象にしていたC-TPAT参加対象を、船、航空、陸運のキャリアへ拡大すること、海上コンテナだけであったCSIの対象を航空コンテナまで拡大するというものである。

 当初C-TPATプログラムが明らかにされたときには、その対象が輸入者、キャリア、ブローカー、倉庫管理者、製造者とされていたが、現実には、4月の開始以来3ヶ月間でプログラム参加対象が輸入者に限定されていた。つまり、これまではC-TPATのフェーズ1と言える期間であったと判断できる。今後、フェーズ3、フェーズ4、フェーズ5と拡大するにつれて順次、ブローカー、倉庫管理者、製造者が参加対象の範疇に加えられていくと見られる。
 なお、関税局は、ローリスクインポーター210社全社の参加を目標としていたが、フェーズ1の期間中に目標以上の参加を得たことになる。

ボナー長官のヘリテージ財団での発言概要[2]
①C-TPAT(Customs ? Trade Partnership Against Terrorism)
  • C-TPAT参加者は7月15日現在で、既に274社に達したことから、参加対象範囲を、輸入者から航空、海運、陸運のキャリアへ拡大する予定である。
  • 消息筋によると、かねてよりむしろ米国船社の方が輸入者よりも強くC-TPATへの参加を希望していた。

②CSI(Container Security Initiative)
  • これまで報告してきたように、カナダ、シンガポールに続いて、最近、ヨーロッパのロッテルダム港、アントワープ港、ルアーブル港がCSI参加を表明した。米国関税局は対米輸出の上位10港からCSIを開始したが、その後上位20港に拡げており、さらにより小規模な港湾へ拡張する予定にしている。
  • また、CSIは海上コンテナに対するプログラムとしてスタートしたが、航空貨物へ対象範囲を拡大することにしており、運輸省運輸安全局(Transportation Safety Administration, Department of Transportation)及び航空業界と検討に入ることになっている。

③関税局の役割について
昨年9月11日のテロ事件以降、ホームランドセキュリティが関税局のトップ・プライオリティとなった。テロとの戦い遂行のために、米国政府は責任の分担・所在を見直さなければならない。設置が提案されている新省Department of Home Land Securityは、テロに対する戦いでの中心的な役割を担うものであり、関税局のすべての機能は、新省Department of Home Land Securityへ移管されるべきである。

ボナー長官は、テロに対する関税局の対応を下記の通り列挙した。
  • アンチ・テロリスム局(Office of Antiterrorism):同局は2001年10月に設置された。目的は、米国に持ち込まれようとしているテロリストの武器をより確実に摘発するため、進歩した検知技術の使用及び国境警備員のトレーニングによって、関税局がテロの脅威により一層集中できるよう支援することにある。
  • オペレーション・グリーンクエスト(Operation Greenquest):テロリストの資金源を特定して断ち切るために、関税局、シークレット・サービス、IRS、FBIなど省庁間の活動を調整する
  • オペレーション・シールド・アメリカ(Operation Shield America):本プログラムは、テロリストがテロ攻撃のための武器を入手できないようにする目的で2001年11月に設置された。
  • しかしボナー長官自身が強調したのは、関税局の役割の2面性、すなわちホームランドセキュリティの確保と円滑な貿易取引の確保である。この両立を目指して実施しているのがC-TPATとCSIである。

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[1] White&Case情報に関心のある方は、事務局までお問い合わせ下さい。(hashimoto@jmcti.or.jp)。
米国関税局プレスリリースは、www.customs.treas.gov/enforcem/enforcem.htm」から入手可能。
[2] ヘリテージ財団のURLは「www.heritage.org」。ボナー長官の講演録はまだ掲載されていない(7月23日現在)。

以上


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