◆サプライチェーン・セキュリティ対策
  米国関税局の新たなセキュリティスキーム(C-TPATとCSIについて)
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米国向けコンテナ貨物に係る船積み24時間前貨物情報事前申告ルールについてのパブリックコメント提出
2002/09/10

本ホームページで、8月14日付け「米国関税局の新規則提案」についてお知らせしましたが、同規則案が実施されれば我が国企業の輸出に大きな影響が及ぶとかんがえられることから、当組合では、米国関税局にパブリックコメントを提出いたしました。

1.経緯
  • 昨年9月11日のテロ攻撃以降、C-TPAT、CSI等米国関税局により発表されている輸送セキュリティプログラムの一環として、米国関税局は8月8日、下記プロポーズド・ルールを発表するとともにパブリックコメント募集。

    「Comment on Notice of Proposed Rulemaking, Federal Register Vol. 67, No. 153, August 8, 2002, Amendment of 19 CFR §§ 4.7, 4.7a, 4.8, 4.30, 113.64 (Advance Presentation of Vessel Cargo Declaration) 」

  • 本プロポーズド・ルールが実施された場合、対米輸出に大きな影響を及ぼすことが予想されることからコメント提出を決定。コメント案検討は、当組合国際電子商取引円滑化委員会を通じて行う。

*パブリックコメント原文はこちらをクリックして下さい。→(43k)

2.プロポースド・ルールの要旨と問題点
  • 外国港でコンテナ貨物積み込みの24時間前までに、貨物マニフェスト情報を米国関税局に事前申告。
  • 申告事項は従来の貨物マニフェスト情報に新たに15項目を追加。特に、貨物の詳細な情報を求め、また、従来から使用されてきた「said to contain」、「General Cargo」、「FAK:Freight of All Kind」等の一般的表現が使用できないこと。

3.問題点
①船積み24時間前事前申告について
  • CYカットが早められることになり、リード・タイムが伸びるとともにあらたな費用が発生する。リードタイム短縮化による経営の効率化を図りつつある企業にとって大きな問題となる。
  • 香港、シンガポール等アジアの大半の港湾では通関が届出制となっており、貨物申告は出港後の事後申告が認められているため、出港前事前申告となれば、SCMオペレーションに大きな影響がでる。

②貨物の詳細な説明について
  • 貨物の詳細な記述についての定義が不明確である。
  • 詳細な説明としてHSコードの使用も認められているが、HSコードの使用桁数が明らかにされていない。さらに、現在のドックレシート情報から船社がHS分類を行うことは難しい。
  • 輸出者は貨物の盗難防止のため貨物マニフェストに一般的表現を用いているので、一般的表現の使用が禁止されれば盗難のリスクが高まる。
  • 米国に下ろされないトランジット貨物であっても、輸入貨物と同様の申告を求められる。

③米国の域外適用的性質を有する
  • そもそも外国港での貨物の取り扱いについて米国関税局は法的権限を有していないにもかかわらず事前申告を求めている。また、これにより、外国での貨物の積み下ろし、貨物の遅延による損害、B/L約款上の齟齬等についての責任の所在が不明。

4.コメントの構成
①実務上の懸念、②法律上の懸念、③提言

5.コメントの要旨
①実務上の懸念について
  • 上記3.①~③を指摘。しかしながら「貨物の詳細な説明」について以下の諸点は指摘せず。
  • 「貨物の詳細な説明」の定義明確化:日本企業にとって不都合な形で定義が明確化された場合、別の問題を惹起する可能性があるため。
  • 「HSコード」の使用:ドックレシート情報はHS分類することを念頭に作成されていないため、4桁ベースであっても事務上の不都合となることから、HSコード使用については言及せず、盗難の危険性を指摘するにとどめる。(現状の一般的表現の使用継続を希望)

②法律上の懸念について
  • 米国もコミットしている3つの国際協定、GATT、IMO・FAL条約、WCO(京都コンベンション)を論拠とする。
  • 上記いずれの国際協定においても、貿易円滑化の観点から、貿易手続の簡素化と標準化、提出を求める申告情報の最小化と標準化を規定していることから、プロポーズド・ルールが定める「船積み前申告」、「貨物の詳細な説明」及び「トランジット貨物の申告」のいずれも上記国際協定から逸脱していることを指摘。
  • GATT、IMO・FALのいずれも安全保障目的の例外措置を認めているが、それによる差別的取扱いを認めてはいない。しかしながら、「船積み前申告」が差別的取扱いを引き起こす可能性がある。また米国は外国港での貨物の取扱いについて司法権を有していないことと合わせて、「船積み前申告」の不当性と「米国到着前申告」の正当性を指摘。

6.コメントに述べた当組合の提言
 ①
貨物情報申告時期は、外国港での積み込み24時間前ではなく、米国到着前の適切な時期とすべき。
 ②
貨物の記述については、従来通りの一般的記述の使用を認めるべき。
 ③
米国で積み降ろしされないトランジット貨物についての申告情報は必要最小限なものにすべき。
 ④
以上の提言が受け入れられない場合は、C-TPAT参加者には、現状通り(米国到着前申告、一般的記述)の取り扱いが認められるべき。

以上


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