◆サプライチェーン・セキュリティ対策
  米国関税局の新たなセキュリティスキーム(C-TPATとCSIについて)
トップページサプライチェーン・セキュリティ対策ニュース関連>EUの税関近代化ワーキングペーパー、WCOのドラフト、米国のACE

EUの税関近代化ワーキングペーパー、WCOのドラフト、米国のACE
2003/06/02

(1)EUの税関近代化についてのワーキングペーパー(White&Caseレポート:原文にご関心のある組合員企業の方は事務局(下記)までご連絡下さい)
注目すべき基本点は下記4点であろうと思われます。

1.電子申告
2006年1月までにシングルウィンドウシステムを稼動させる

2.事前申告
外国港での貨物積込前の事前申告という米国の現行規則で行なっている事前申告ではなく、輸入品については到着前24~48時間申告となっています。

3.オーソライズド・トレーダー
オーソライズド・トレーダーには簡素な手続を適用する

4.政府機関間での情報の共有
(1)関連機関間及び第三国政府機関との情報の共有
昨年9月に当組合から米国24時間ルールのプロポーズドルールについてのコメントを提出したときの要望として、①外国港での積込み前の申告とするのではなく、米国到着前の然るべき時間枠での事前申告に変更する、②この変更が認められない場合でもC-TPAT参加者には24時間ルールを免除する、という点を挙げました。EUのワーキング・ペーパーの内容と当組合の提案は、基本線でよく似ている部分があると思われます。(添付ファイル:EU.pdf(32KB))

(2)WCOシンポジウム資料
今年4月2日に横浜でWCOのシンポジウムが開催されました。シンポジウムのテーマは「Security and Facilitation of the International Trade Supply Chain」で、セキュリティと効率性の両立がテーマでした。小職も出席しましたのでそのときの議事メモ及び「Customs Co-operation Council High Level Guidelines for Co-operative Aggrangements Between Members and Private Industry to Increase Supply Chain Security and Facilitate the Flow of International Trade」ドラフト(案)の日本語要約も併せてご報告します。同シンポジウムでも、電子的手段を用いた(事前)申告、オーソライズド・トレーダー、政府間での情報共有等についての案が示されています。(添付ファイル:WCO.pdf(35KB))

以上、EUの資料、WCOの資料いずれも案であり、ただちにMandatoryな規則になるというものではないことにご注意下さい。しかしながら、テロ事件を契機とした、セキュリティと貿易円滑化の両立についての議論の方向指し示すものであると思われます。

(3)米国ACE
他方米国では、1993年税関近代化法にもとづいた新たな申告システムACE(Automated Commercial Environment)の構築を進めているところです。これは100を越える政府機関が情報を共有し、通常の通関業務に留まらず、オリジンから最終荷受人までの間のサプライチェーンを全てカバーして物流に係わる情報を高度に管理し、輸出管理、テロ対策をはじめとしてアンチダンピング/相殺関税、知的所有権、マネーロンダリング対策等広範な領域を取り扱うことができるシステムです。アカウントマネージメントという手法で貿易企業を管理し、また従来の、申告書のEDI化を超えた情報の授受をも視野にいれた壮大なスケールのシステムです。(添付ファイル:ACE.pdf(235KB))

セキュリティと効率化は相反するものと従来考えられてきました。しかしながら、上記(1)、(2)、(3)に共通して見られるのは、オーソライズド・トレーダー(米国にあってはC-TPAT)、政府機関間での情報共有などの制度設計を検討しつつ、セキュリティと効率化を同時に達成しようとするあらたな貿易手続の枠組みを模索していることです。

独立行政法人経済産業研究所 コンサルティング・フェロー 泉田 裕彦氏が、この点について論文を発表されておられますので、ご関心の向きは下記へアクセス下さい。
http://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0085.html

これまで本ウェブサイトにて、米国のコンテナセキュリティ・プログラムの動向についてご報告してまいりましたが、今後新しい貿易の枠組みという視点でも情報を提供してまいりたいと思います。

なお、事務局連絡先が変わりましたので、ご質問等は下記までお寄せ下さい。

日本機械輸出組合貿易業務・保険部門部会業務グループ
電話:03-3431-9800、FAX:03-3431-0509
Eメール:hashimoto@jmcti.or.jp

以上


戻る