6月11日、ブッシュ政権はCSI(Container Security Initiative)をイスラム圏及び小規模ながら戦略的な位置にある港湾へ拡大することを明らかにしています。(6月12日付けNew York Times紙)。これはCSIの第2フェーズとなるものです。
(要旨)
- 国土安全保障省(DHS:Department of Homeland Security)では、検査官チームを無期限でドバイに派遣することを計画している。ドバイは、アラブ世界、マレーシア、トルコ、その他イスラム諸国において、極めて重要な積換え港である。
- (最初にCSIの対象とされた)20大港は、米国向けコンテナ貨物の2/3を占めているが、米国当局では、アル・カイーダがコンテナ貨物の通過地として、他の小規模な港湾、とりわけイスラム諸国の港湾を利用するのではないかとの懸念を強めている。
- CBP(Customs and Border Protection)のロバート・ボナー局長によれば、米国はCSIの第2フェーズとして、さらに20~25港を対象に加える意向であるが、これら港湾は、貨物取扱量および当該地域における戦略性に基いて選択される。
- DHSの発表では、CSIの第一フェーズによって既に130人の検査官が外国港に展開しており、さらに170人が訓練中である。これまでに1億ドルのCSI予算が投入されている。
- CSIでは、荷主が不明であったり内容物が問題となる物であることで疑わしいと判断された場合に検査を実施することになる。検査チームは約5名から構成されると予想される。
- CSIに参加した外国港は、米国検査官に放射線モニターなどのハイレベ検知装置を提供することが求められる。外国港で使用するために米国政府として検知装置などを購入する意図はないものの、外国政府によるこうした装置購入のための資金援助を検討するよう世界銀行に要請している。
- ロバート・ボナー局長によれば、外国政府は米国検査官を迎え入れることを切望しているとのこと。その理由は、CSI参加によって、輸出貨物が米国港での検査による遅延を被らなくなるからである。CSI参加を拒否する外国政府は、輸出貨物が米国港でホールドされるリスクを負うことになる。
- 6月11日、CSI参加についてタイ国と合意合意署名が交わされた。マレーシアとは既にCSI実施について合意しており、ドバイ、トルコとの交渉は間もなく開始されることになっている。
- なお木曜日(12日)の記者会見でトム・リッジDHS長官が、米国の港湾セキュリティ強化のために1億7000万ドルの予算を州政府および地方自治体に配布し、貨物セキュリティの研究開発に3000万ドルを配布すると発表する予定。
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