当組合ブラッセル事務所から、2月下旬時点でのEUの事前申告ルール検討状況についての情報が届きました。
欧州委員会が、あらためて事前申告ルール案(ワーキングペーパー)を提示したとのこと。昨年7月に、欧州委員会は事前申告ルール案を取りまとめ、欧州理事会に送付しました。2月3日、9日付けの本メール配信で報告した事前申告ルール案の検討状況は、この欧州理事会ワーキンググループ
(European Council Working Group)におけるものです。
欧州委員会がルール案(ワーキングペーパー)を提示した事情については、分かり次第あらためてご報告いたします。
なお、先般よりお伝えしております一連のEUの事前申告ルール案は、現在検討中のものであり、決定に達したものではないことを念のため申し添えます。
1.輸入
海上輸送:航海時間が24時間以上の輸送を含む大洋航海(deep sea maritaime transport)については24時間前、その他の海上輸送では少なくとも2時間前(ただしサマリーデクラレーションが電子的に申告されない場合にあっては4時間前)。
何等か国際合意がある場合には、異なる事前申告タイムフレームもあり得ることを、今回の事前申告案は予想している。
トランジット貨物:トランジット処理のための新コンピュータシステムNCTS(New Computerized Transit System)が必用データを受信した時点で、事前申告タイムフレーム条件を満たすことになる。
以下のケースでは、事前申告は求められない。
① パイプラインによる電力の輸入。
② カスタムス・デクラレーションの提出がもとめられていないものとして、非商業目的の貨物、個人用品(Personal Effects)
③ 口答でのデクラレーションが認められているもの
旅行者荷物、低価額貨物
④ 税関規則35条(5)で規定されているもの
定期便(船舶・航空機輸送)であって直行航路の関係で一時的にEU域内の税関領域を離れる場合
郵便小包:特別の取扱いは無し。輸送されるそれぞれの事前申告ルールが適用される
2.輸出
全ての輸送モードについて、2時間前(ただしサマリーデクラレーションが電子的に申告されない場合にあっては4時間前)。
輸入と同様、何等か国際合意がある場合には、異なる事前申告タイムフレームもあり得ることを、今回の事前申告案は予想している。
3.オーソライズド・オペレータAEO(Authorized Economic Operators)
欧州委員会としては、あらたなAEO規程が採用され、その実施規程が発効するまで、現行のAEO資格と認定システムが維持されることを希望している。
この新規程が発効した後、現行AEO資格が認められている間について移行措置が取られることも提案している。
AEOに与えられるベネフィット: AEOは、より短い到着前/出発前の事前申告タイムフレーム、 あるいは、より少ない申告情報、あるいはその両方のベネフィットを与えられるべき。
さらに、非常に高い基準を満たしたAEOについては、事前申告義務を免除することも可能ということもあり得る。
4.データの標準化
輸入貨物のサマリーデクラレーションの情報は、個別の行政文書(SAD Single Administrative Documents)ではなく、標準化された商業ドキュメントで使用されている情報(すなわち、IMO FAL、あるいはWCOスタンダード)に基くべきである。
種々の輸送モードに応じて要求されるデータ内容に差異がありうることも視野に入れている。
輸出については、申告データはSADの要件に基くことになり、それにはセキュリティ目的で追加データが求められることもあり得る。
共通データ(Common Data)の確立には、特に輸入について時間がかかるだろう。また、移行期間においては、到着前サマリーデクラレーション申告について、貨物到着前のリスク分析技術及びリスク管理と組み合わされるならば、 現行の変更されないデータのままで十分であるべきである。
以上