5月11日付のAmerican shipperによると、米国国土安全保障省(DHS)のジャネット・ナポリターノ長官は、2012年7月1日に実施を予定していた100%スキャン法について、実施を2年間延期する旨、5月2日付の書面により米国議会に正式に通知した。
100%スキャン法は、米国の貨物セキュリティ施策の一環で、米国向け海上コンテナ貨物は海外での船積み時に全て(100%)、核物質検知装置とエックス線装置(NII:被破壊型検査装置)による検査を受けなければならないものと規定しており、2007年に大統領が署名して法律として成立している。(正式名称:implementing
Recommendation of 9.11 commission Act of 2007)
ただし、同法では、6つの実施延期条件のうち、最低2条件の未整備についてDHS長官が議会に証明できれば、実施期日を2年間延期できるとも、定めており、これまで100%スキャン法には、WCO(世界税関機構)を始めとする多くの関係者から実施反対の声が上がっていた。
ナポリターノ長官は、延期の理由として、同法の実施が、貿易量、貨物の流れに重大な影響を及ぼすこと、海外の港湾では、被破壊型検査装置を置くための物理的スペースがなく、貨物を効率よく移動できるように配備できないことを上げたと報じられている。
なお、同法では、延期にあたっては、DHS長官が実施延期の書簡提出日以降、60日を経て、確定するものと定められており、7月1日の実施延期が確定的なものとなった。
実施延期条件
① スキャンシステムが購入、入手できない
② スキャンシステムの誤作動率が高い
③ 海外の港湾がスキャンシステムの購入、配備ができない
④ スキャンシステムが現行システムと統合できない
⑤ 貿易量、貨物の流れに重大な影響を及ぼす
⑥ スキャンシステムがリスク貨物であることを自動通知できない
根拠法
以上
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