既に報道されているように、米国では暫定予算を巡る議会内の対立から政府機関の一部閉鎖が実施されています。
米国政府の方針として、国民の生命財産の保護、法の執行など政府機能にとって本質的(Essential)とされる政府機関は業務を継続し、本質的でないとされた政府機関は閉鎖されています。通関業務や港湾等水際の業務は“本質的”であるとして業務が継続されていますので、税関、港湾・空港・ハイウェイ等の輸入・運輸関連業務に携わる職員の多くは一時帰休対象から除外されていることから、輸入通関、港湾機能等は引き続き維持される見通しです。
目下のところ大きな混乱は報告されていませんが、10月1日~7日の間に当事務局で入手しました情報に基づき、概要以下の通りご報告いたします。
1.国土安全保障省(DHS: Department of Homeland Security)
DHSは9月27日金曜日に、非常事態措置に関する文書“Procedures Relating to a Federal Funding Hiatus”を発表しております。
添付ファイル”
DHScontingencyplan-09-27-2013.pdf”参照
リンク:
http://www.dhs.gov/sites/default/files/publications/dhs-lapse-contingency-plan-09-27-2013_0.pdf
(1)税関・国境取締局(CBP:Customs and Border Protection)
※添付ファイルDHScontingencyplan-09-27-2013の31ページ参照
CBPは現在5万9651名(7月31日現在)の職員が業務を行っているが、政府機関閉鎖となっても5万2673名は一時帰休(furlough)対象から除外され、引き続き業務を継続する見通し。なおCBP自身からは非常事態措置についての発表は今までのところ無い。
(2)移民・税関執行局(ICE:Immigration and Customs Enforcement)
※添付ファイルDHScontingencyplan-09-27-2013の32ページ参照
ICEは現在1万9810名(7月31日現在)の職員が業務を行っているが、政府機関閉鎖となっても1万5794名は一時帰休(furlough)対象から除外され、引き続き業務を継続する見通し。
(3)輸送安全局(TSA:Transportation Security Administration)
※添付ファイルDHScontingencyplan-09-27-2013の33ページ参照
TSAは現在5万9282名(7月31日現在)の職員が業務を行っているが、政府機関閉鎖となっても5万5211名は一時帰休(furlough)対象から除外され、引き続き業務を継続する見通し。
注:連邦航空保安官(FAMS:Federal Air Marshal Service)の数は上記のTSA職員数に含まれていない。またセキュリティの観点から人数は公表されない。
2.運輸省(DOT: Department of Transportation)
DOTも同様に9月27日金曜日に、非常事態措置に関する文書“Operations During a Lapse in Annual Appropriations Plans by Operating
Administration”を発表。
添付ファイル”DOTcontingencyplan.pdf”参照
http://www.dot.gov/sites/dot.dev/files/docs/DOT 2014 Plan for Approp Lapse.pdf
(1)運輸省関係職員5万5500人のうち、1万8500人が政府機関閉鎖の場合に影響を受ける。
(2)航空関係
①
連邦航空局(Federal Aviation Administration)の従業員4万6070名のうち、1万5514名が一時帰休する見通し。この1万5514名はDOTにおいて、規則策定、予算管理、施設・機器等の資産計画、薬物試験、その他業務を担当している職員。
②
航空管制、施設維持、機体証明(aircraft certification)、危険物質検査、その他業務は一時帰休の対象から除外され政府機関閉鎖後も業務を継続する。
(3)自動車関係
①
連邦ハイウェイ管理局(Federal Highway Administration)の2914名は全て業務を継続する(一時帰休はない)。
②
連邦自動車運輸安全管理局(Federal Motor Carrier Safety Administration)の1102名も全て業務を継続する。
③
全国ハイウェイ運輸安全管理局(National Highway Traffic Safety Administration)は、597名のうち333名が一時帰休する見通し。
(4)連邦鉄道管理局(Federal Railroad Administration)の半数以上が自宅待機、
(5)海事局(Maritime Administration)半数以上が職場を離れる見通し。
3.商務省
(1) BIS: Bureau of Industry and Security
以下の手続きは受理しない。また既に受理されているものは処理が停止。
- 輸出許可申請
- 該非判定(CCATS)及び(Commodity Classification request)
- 暗号レビュー
- 暗号登録
- 質問の受付
- なお、ナショナル・セキュリティ目的による規制について緊急の輸出許可取扱をEメールでリクエストすることはできる。
- 宛先はDeputy Assistant Secretary for Export Administration Matthew Borman at Matthew.Borman@bis.doc.gov.
- Eメールの件名に"Request for Emergency License"と記入しなければならない。
- さらに、Eメールにおいて以下を明確にのべなければならない
- 申請者(連絡先を含む)、中間および最終荷受人、エンド・ユーザー、貨物、エンド・ユース、緊急取扱を正当化する理由
(2) ITA (International Trade Administration)
- 鉄鋼製品事務局は閉鎖され、オンライン・スティール・ライセンス・システムは停止されている。このため、暫定的に使用されるライセンス番号はSTEELX103となる。
4.環境保護庁(EPA :Environment Protection Agency)
- 職員の97%は自宅待機。
- AAEI会員がAAEI事務局に寄せた情報によれば、地域事務所4、5、7、8では、到着通知(Arrival Notice)フォーム3540-1の受付が行われていない。(殺虫剤関係の輸入手続きであるため機械関係製品の輸入手続きには関係ないと思われます)
注 EPA地域事務所4:フロリダ州等南東部8州
地域事務所5:イリノイ州、ミシガン州等五大湖周辺6州
地域事務所7:アイオワ州等中西部4州
地域事務所8:コロラド州等中部山岳・平原地帯6州
5.国際貿易委員会(ITC:International Trade Commission)
- アンチダンピング/相殺関税(AD/CVD)担当職員の大半が自宅待機。AD/CVD税処理期限は政府機関閉鎖の期間だけ延長される見通し。
6.税関・国境取締局(CBP:Customs and Border Protection)
- HTSUS(Harmonized Tariff Schedule US)のウェブサイトは停止中。
- 税関技術者・責任者(Technicians・Program Managers)は自宅待機。このため、ボンドおよび許可取扱に遅れがでるものと見られる。
民間の情報ソース
- 全米輸出入者協会(AAEI:American Association of Exporters and Importers)は、ウェブサイトで、政府機関の稼働状況の最新情報を随時アップデート。 http://www.aaei.org
- 米国の物流紙、コンサルタントのニューズレターなどの多くは、AAEIのウェブサイト情報を参照しているようです。
以上