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米国関税庁のファイナル・ルール、コメント編・2
2002/11/25

10月31日付け米国官報Federal Registerで「積込み24時間前までの海上コンテナ貨物のマニフェスト情報事前申告に関するファイナルルール(以下24時間ルールと言う)が発表されましたが、併せて、プロポーズド・ルールに対するパブリックコメントで提起された問題点と米国関税庁の見解を詳細に紹介しております。

今回は、パブリックコメントに対する米国関税庁の見解について、まだご紹介していない2題をお知らせいたします。[1]

(以下は当事務局による要約ですので、正しくはFederal Register の原文をご参照下さい。なお2題ばかり要約をし残しておりますが、順次ご報告いたします。誤訳・表現の不適切なものがありましたら、お聞かせいただければ幸いです。)

4.Confidentiality of Manifest Information
コメント(多数)
 ①
電子化されていないNVOCC業界からの懸念:24時間ルールの手続規定に基づいて税関に提出される情報は公表のためリリースされることになっている。かかる業務上の秘密情報の公表はNVOCC業界を害するものである。マニフェスト情報の秘密性について荷主/荷受人だけが2年毎に申請することが許されている法規を適用して、NVOCC申告者にも荷主/荷受人のために米国税関に2年毎の秘密証明(Confidentiality Certification)をすることが許されるべきである。また、米国関税庁はNVOCCが証明申請目的で荷主/荷受人の「事実上の代理人(Attorney in fact)」となることを考慮するべきである。なぜなら、現行法は荷主/荷受人のために代理人が証明申請することをみとめているからである。
 ②
貨物セキュリティ上の懸念:米国税関が、申告情報を受け取った後ですぐにリリースすることになれば、貨物の内容を特定できる情報が、当該貨物が外国港を出港する前にもリリースされることになる。
関税庁の見解
上の懸念に同意する。輸入貨物、特に化学品などのセンシティブな貨物の場合、早期の情報のリリースは、ビジネス関係を阻害するだけでなく輸入貨物情報を入手したテロリスト等犯罪組織が当該貨物の窃盗を可能にするものである。したがって米国関税庁は現行法の範囲内で上の懸念に対応する用意がある。
 ①
19U.S.C.1431( c)の規定は、秘密性証明をすることができる主体を輸入者あるいは荷受人に限定している。現行規則は、輸入者/荷受人の代理人がクライアントの秘密証明申請することを認めているが、米国関税庁は、当該証明申請目的でNVOCCを「事実上の代理人(Attorney in Fact)」指定することはできない。関税規則パート103(19CFR103)の改訂が必要になろう。このため、NVOCCが輸入者/荷受人のために2年毎の証明申請ができるよう、近い将来にフェデラル・レジスターで規則提案を発表することにしている。しかしながら、ただちに可能なオプションとしては、マニフェスト情報を申告しようとするNVOCCは、米国内の適切(appropriate)な輸入者/荷受人に自らのために関税庁に証明申請するよう依頼することである。
 ②
事前申告情報のリリースがあらたなセキュリティ上の懸念を生じる懸念に関していえば、米国税関は、最終的にマニフェスト(Complete Manifest)が税関に提出されるまで事前申告情報をリリースしない。19U.S.C.1431( c)の規定は、マニフェスト情報(Vessel Manifest)の公表を用意しているが、いつ公表しなければならないかについては規定していない。
 ③
8月8日に発表された24時間ルールのプロポーズド・ルールは、マニフェスト(Vessel Manifest)情報の一部分を外国港での積込み前に申告するよう規定している。この要件は多数のマニフェスト情報の極く一部分を対象にしているものである。マニフェストそのものは、米国港への船舶の入港時に提出されるものである。完全なマニフェストが米国税関へ提出されるまでは、いかなる情報もマニフェスト(Vessel Manifest)に含まれていると言い得るものではない。したがって、マニフェスト情報のリリースは、米国港への入港時に全ての完全なマニフェストを税関に提出するまで待たなければならない。

13.Co-Loading
コメント(多数)
プロポーズド・ルールは、「Co-Loading(共同積荷)」を殺してしまうことになる。
Co-Loadingは複数のNVOCCが荷物をひとつのマスターB/Lでまとめ、個々のNVOCCがそれぞれのハウスB/Lのマニフェストを持つ。
そのようなシナリオの時に問題となるのは、電子化されたNVOCCが電子化されていないNVOCCとCo-Loadingし、電子化されないNVOCCがコンテナを船舶に積込む場合、マニフェスト情報の秘密が保たれ、船舶へ提出されないのか?
また、全てのNVOCCのハウスB/L(マスターB/LとCo-Loading B/L)にある荷主、荷受人、貨物の記述情報は、事前申告マニフェスト情報に含まれるべきなのか明確にしてもらいたい。
関税庁の見解
24時間ルールはCo-Loadingを殺すものではない。
 ①
電子化されたNVOCCが電子化されないNVOCCとCo-Loadingし、電子化されていないNVOCCがコンテナを船舶に積込む場合。
  • 電子化されたNVOCCが、船積みされるコンテナの自身のB/Lを米国税関へ直接AMSで申告することが求められる。
  • 電子化されていないNVOCCは、キャリアがAMSで申告することになるため、当該貨物のマニフェスト情報を完全に開示し、キャリア側に提出しなければならない。
  • 電子化されたNVOCCが文書でマニフェストをキャリア側へ提出することは認められない。
  • 米国税関がタイムリーにマニフェスト情報を受け取っていない場合、当該コンテナは米国で検査のためにホールドされる可能性があるということに、Co-Loadingにあたって電子化されたNVOCCは十分注意しなければならない。
 ②
電子化されないNVOCCが電子化されたNVOCCとCo-Loadingし、電子化されたNVOCCがコンテナを船舶に積込む場合。
  • 電子化されたNVOCCがAMSによって全てのB/Lを送信することが求められている。
  • Co-Loadingの一部として貨物を船積みする電子化されていないNVOCCは、電子化されているNVOCCがAMSで定められた情報を米国税関へ申告できるよう、自身の貨物に関わるマニフェスト情報を電子化されたNVOCCに完全に開示し提出しなければならない。
 ③
個々の出荷分について、貨物の説明(Cargo Description)とともに荷主および荷受人を確認できるようAMSにインプットしなければならない。
 ④
NVOCCが荷主/荷受人またはConsolidation(混載)であると述べているB/Lは認められない。
 ⑤
電子化されていないNVOCCに2つのオプションがある。
I.
文書でマニフェスト情報を直接、キャリアに提出する。キャリアが、電子化されていないNVOCCからの全てのB/L情報をAMSにインプットする。
II.
AMSの参加者になり、マニフェスト情報を直接か、またはプロバイダー、港湾管理者(Port Authority)経由で申告する。
IIのオプションでのみ、電子化されないNVOCCの情報の秘密が維持される。いずれが選択されようとも、電子化されていないNVOCCは、24時間ルールに従うことが求められる。
 ⑥
19CFR4.7aで述べられているように、荷主から密封されたコンテナを受け取ったNVOCCは、「Shippers Load and Count」の説明を用いることができる。しかし、AMSで荷主(NVOCCではなく)が明確にされなければならない。

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[1] これまでの経緯は、http://www.jmcti.org/C-TPAT/vol_1.htmで紹介しております。
ファイナル・ルールは11月5日付け「米国関税庁のファイナル・ルール」、パブリックコメントへの米国関税庁の見解は11月15日付け「米国関税庁のファイナル・ルール、コメント編」で、それぞれ紹介しております。

以上


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