2004/10/1更新
1.海外商社名簿とは?
海外商社名簿は、貿易保険法に規定する外国貿易その他の対外取引の相手方の与信管理等のために日本貿易保険が作成しています。
貿易保険に関係のある輸出契約等の相手方(以下バイヤーという)ごとに形態、信用状態等の評価について格付(与信管理区分13種、事故管理区分9種)を行ない管理し、信用危険に係る貿易保険の引受あるいは制限に使用しています。
既に登録されているバイヤーについては、年に1回程度調査を行ない、格付の見直しを図っておりますが、全体の経済状況等が悪化している国のバイヤー等は必要に応じ随時調査を行なう場合もあります。
貿易保険を利用するには、取引の相手方が海外商社名簿に登録されている必要があります。
なお、海外商社格付情報については、日本貿易保険が提供するwebサービスにより閲覧することが出来ます。
NEXIホームページ。
2.格付とてん補の関係
信用危険については海外商社名簿の格付や支払保証によって、付保の可否やてん補範囲が決定されます。
なお、保険契約締結時における相手方格付は、保険契約満了まで適用されますので、保険期間中に格付のランクが上下しても一旦締結された保険契約内容が変更されることはありません。
名簿区分(G,E,S,P)
:
バイヤーの形態又は調査の状況により区分
事故管理区分(R,B)
:
バイヤーに信用危険に係る損失発生等の通知があった場合等にその状況により区分
|
名簿区分 |
事故管理区分 |
未
登
録 |
G |
E |
P |
R |
B |
GS |
GA |
GE |
EE |
EA |
EM |
EF |
EC |
非 常 危 険 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
× |
登
録
後
申
込
し
て
下
さ
い |
信
用
危
険 |
船
積
前 |
キャンセル |
○ |
○ |
○ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
破 産 等 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
△ |
△ |
× |
船
積
後 |
破 産 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
□ |
□ |
△ |
△ |
△ |
× |
債務不履行 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
□ |
□ |
△ |
△ |
△ |
× |
(記号)
○−てん補 ×−不てん補
△−ILC取得後てん補
□−ILC取得後てん補
ILC無しでも個別保証枠の範囲内で包括保険としててん補が可能です。
*個別保証枠 NEXIが与信管理上、バイヤーに鉄製している船積後信用危険の引受限度額をいいます。
てん補を希望される場合のみ利用が可能であるため、船積後の信用危険料率は、個別保険の約30%程度です。
ただし、個別保証枠が保険金額に満たない場合、部分てん補はできません。
てん補を希望される場合は、まず当組合にご相談下さい。
*
ILCにより決済される場合は、ILCの発行銀行又は確認銀行が海外商社名簿上「GS格、GA格、GE格」又は「SA格」に格付けされている場合に限ります。
*
海外商社名簿上「SA格」(銀行等)が輸出契約等の相手方(支払人)である場合は「EE格」の海外商社として取扱います。同様に「SC格」は「EC格」の海外商社として取扱います。ただし、輸出契約等の相手方が「SB格」の場合は、保険契約は締結されません。
*
バイヤーが被保険者の支店、子会社等の場合は、船積前・船積後の信用危険は不てん補となります。
⇒子会社等の定義はこちら
※
貿易一般保険(個別)、輸出手形保険等の他の保険種については一部取扱いが異なります。
登録手続きについて
まず「海外商社名簿」に登録されているかどうかを名簿で確認して下さい。
現在、既に登録されているものも多くあります。
登録されていないことが判明した場合は、下記の該当する区分に登録申請をします。
「海外商社登録申請書」
1通
「信用調査報告書」又はそれに代わりに「格付を確認できる書類(写し)」
1通
■ 格付を確認できる書類
「格付を確認できる書類」とは、次のようなものを考えています。
「GS」、「GA」
名称に政府又は省(government 又は ministry)等の文字があり、明らかに政府またはその関係機関と判断できる場合は、契約書の写しを信用調査報告書に代えることができます。
国際機関等
(GS)の登録等の場合には、当該機関等の出資及び活動状況を記した日本政府又は本邦に所在する支部等の刊行物の表紙及び当該国際機関の記載箇所の写しを、信用調査報告書に代えることができます。
「GE」
政府機関又は地方公共団体が100%直接出資する法人を登録等する場合は、公的機関等によって発行されたその事実を証明する書類等を信用調査報告書に代えることができます。
ただし、政府機関の直接出資が50%を超え、100%未満の法人の場合は、直接出資及び経営内容について記載のある信用調査報告書の提出が必要です。
書面の内容は次の点が記載されているものとなります。
(1)
政府機関の場合
主題の機関は○○国政府○○省の一部局である。
(2)
州政府または地方公共団体の場合
主題の機関は○○国政府○○州政府(又は○○市役所)の一部局である。
(3)
公社、公団等の場合
主題の機関は専ら○○を行う公社であって○○省の管理下にあり、その長官は国会の承認を得た上で政府が任命し、その運営費はすべて政府予算から支出されている。
(4)
100%直接出資の法人の場合
公的機関等(在日大使館、商工会議所等)の証明書
主題の機関は、○○年度の○○法により、設立された法人であって、専ら○○を行う企業体であり、発効済株式の100%を政府が有する。
「海外商社登録申請書」
1通
「信用調査報告書(原本)」
1通
■信用調査報告書の要件
「信用調査報告書」とは、次の要件を満たしているものとなります。
(1)
原則として英語又は日本語で記述されているもの。
(2)
確実な調査者によって作成された報告書であって、原則として海外商社の1年以内の財務内容等について調査されたもの。
(3)
次の事項について詳細に記述されているもの。
1) 当該海外商社の名称及び住所
2) 創業又は法人設立の時期
3) 業種
4) 財務内容(貸借対照表及び損益計算書等)
5) 信用状態(契約履行の状況、取引者間の評判等)
6) 当該信用調査報告書の出所(調査機関名)及び調査又は作成年月日
「海外商社登録申請書」
1通
「信用調査報告書(原本)又はこれに代わる書類」
1通
■信用調査報告書の代替資料
商業銀行
「S」への登録の場合には、 Reed Information services Ltd.発行の「THE BANKER'S ALMANAC」最新版の収録頁及び表紙の写しをもって信用調査報告書の代わりにできます。(但し、最新の財務諸表が掲載されている場合に限る。)
「P」に登録する場合
「海外商社登録申請書」
1通
「 信用調査報告書」の代わりに「名称及び住所を確認できる書類(写し)」
1通
■名称及び住所を確認できる書類
登録しようとする海外商社の正式名称及び住所を確認できる書類(契約書、レターヘッド等、名刺は不可)が必要となります。に限る。)