理事長 國分 文也
貿易立国、技術立国として発展してきた我が国にとって、輸出の60%を占める機械輸出は、極めて重要な役割を果たしております。日本機械輸出組合は、設立以来、機械産業の成長と世界の通商・市場環境の変化に応じ、我が国機械輸出の発展を支援する様々な事業を展開してまいりました。
戦後復興から高度経済成長につながる1950-60年代には輸出促進と輸出秩序維持対策、輸出競争力が高まった1970-80年代には貿易摩擦への対応、そして、東西冷戦体制が終焉しWTOが発足した1990年代には、世界経済のグローバル化への対応に取組みました。
2000年代に入り、二国間・地域間経済連携協定などにより自由化が進展するとともに、新興国経済も成長し、機械輸出市場は拡大してきました。しかし最近では、国家間対立や経済安全保障などを背景にかつての自由貿易体制は困難に直面しています。各国間の合意形成・紛争解決をつかさどるWTOは機能不全が指摘され、その改革が急務とされています。
さらに、持続可能な社会・経済を希求する声の高まりから、脱炭素化や強制労働の禁止などにおいて企業責任はますます重みを増し、サステナブルな成長を達成するための国際的な取組みが具体化しつつあります。他方、デジタル技術による社会・経済のトランスフォーメーション(DX)の可能性が拡がるなど、機械輸出は事業環境の大きな変化に直面しています。
このような中にあって、我が国機械産業には、単に輸出、海外生産の拡大だけでなく、環境や人権などの社会的課題に取組み、イノベーションによる競争力強化を図ることにより、こうした大きな変化に適応していくことが期待されています。
日本機械輸出組合では、このような変化の中での会員企業の国際展開に合わせて、通商・投資・市場対策、海外環境・製品安全対策、輸出管理対策、プラント・インフラ輸出促進等業種別対策、貿易保険事業等の海外リスク対策を中心に事業展開し、会員企業の持続的発展のために努めてまいります。